「FIR のふしぎなお皿」のレビュー (家庭向け電子レンジ専用皿)

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生活

2018年 6月に、佐賀県の割烹食器メーカー小森谷嘉右衛門窯の『有田焼 ふしぎなお皿 蓋付丸型焼皿』を買いました。

マイクロ波を受けて皿事態が発熱するので、電子レンジで焼き目の付いた焼き魚が焼けるという逸品です。

現在が 2023年 6月ですので、5年使ったレビューになります。
ちなみにレビュアーは、恥ずかしながら料理弱者の社畜おじさん1名です

良いのか? 悪いのか? また買いたいか?

●良い所

  1. 空気を汚さないので、換気が不要。(エアコン使用時にはありがたい!)
  2. とくに根菜類の調理に重宝する。(ヤキイモとか、早く美味しくできます!)
  3. 皿が熱くなるので、料理が冷めにくい
  4. なんと電子レンジで焼き目つきの焼き魚が焼ける
  5. 失敗しない。(ちゃんと重さを計って、レンチン時間を設定すれば失敗知らず)

●いまいちな所

  1. 高価。(これが問題だ)
  2. 爆ぜる食材は、やっぱり爆ぜる。(魚とかポンボン爆ぜる)
  3. ほとんどの料理はフライパンで作った方が旨い
  4. シュウ酸などのアクの多い食材は不向き。(ホウレンソウとか)

●割れたらまた買いたいか?

お金に余裕があったら欲しいけど、今の値段では微妙…

●総評

料理の腕があるなら、正攻法でフライパン使った方が美味しいものができます。

でもですよ、エアコン使ってるし、換気したくないなぁ… ってときに、腹が減った、しかも疲れてダルイ。トドメに自分はお料理弱者…

そんなときに不思議なお皿が役に立ってくれます。

冷蔵庫を開けて、サツマイモとかジャガイモを適当に切って、不思議なお皿にポンポンと乗せてレンチンすれば、遠赤外線でホクホクの焼き芋ができあがる。
それも数分でだ。フライパンではこうはいかない。

わたしはレシピ本にある『カボチャの蒸し煮』をよく作ります。
あと味噌ダイコンも美味しくできます。

これら根菜類の調理に関しては、なかなかに優秀な調理器具だと思います。

一方、少しでも手の込んだ料理だと、急に面倒になります。

レシピ本には『鶏肉と椎茸とタケノコの炒め物』とか、『鯛の塩焼き』とか、『ビーフステーキ』とか載っていますが、せっかくの鯛やらビーフステーキやらを不思議なお皿で作る気にはなりませんなぁ。

がんばればこれらの調理もおいしくできるのかもしれませんが、それならフライパンを使った方が、レンジの扉の開け閉めとか不要なので簡単で確実ですからね。

食材の重さを計って、レシピ本で加熱時間を比例計算し、一定時間加熱したら食材を裏返したり、混ぜたりしなきゃならん。

そのたびに一旦停止してレンジの扉を開けて、軍手して熱い皿を取り出して、蓋を取って作業するわけです。

はっきり言ってメンドウ。

フライパンなら適当に食材をブチ込んで、シームレスに様子を見ながら手元で調理ができる。

不思議なお皿は、簡単な調理に威力を発揮する調理器具だと思います。

例)
根菜類をただ焼くだけ(これはなかなか美味しくできる。おすすめ!)
冷凍ハンバーグ
焼き魚(一回裏返すのを厭わなければ)

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見た目のサイズ感と寸法

見た目はこんな感じ

寸法は、最大幅 220mm、食材を置ける部分の最大幅 185mm

高さはニベアクリームC 50g と比較

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どこで買えるのか?

小森谷嘉右衛門窯「ふしぎなお皿 蓋付丸型焼皿 [丸型 焼き皿 蓋付]」

わたしは 2018年 6月にヨドバシドットコムで購入したのですが、現在はすでに販売終了になっていました。(見ることはできるようなので載せておきました)

・小森谷嘉右衛門窯「ふしぎなお皿 蓋付丸型焼皿 [丸型 焼き皿 蓋付]」
https://www.yodobashi.com/product/100000001002372379/
合計 1 点  4,860 円

アマゾンでも「現在在庫切れ」となっていましたが、調べたところ、以下のHPから通販できるようです。

ふしぎなお皿(不思議なお皿)専門店 卸直通販

ふしぎなお皿×1枚 (レシピ本付き)
通販特価: 3,465円 (税抜: 3,300円)
送料:525円
※2023年 6月27日 火曜調べ

株式会社もしも
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-19-2 スプラインビル3F
サポートデスク 平日10時~17時(土曜・日曜・祝祭日を除く)
E-mail: support@moshimo.com

通販はここに一本化しているみたいです。

以前はいろんな形の製品を販売していましたが、今は蓋無しの製品一種類しか販売していないようですね。

皿がマイクロ波を 100% 吸収してくれるわけでは無いので、食材によっては爆ぜるので蓋はあった方が良いんだけどな…

まぁ、飛び散り防止目的なら、100均のシリコンの蓋でも使えばいいかな?

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類似品

似たようなものがアマゾンで売っていました。

イシガキ産業 魔法のお皿 ピザプレート 3328

-12% ¥2,900 税込

※2023年 6月27日 火曜調べ
わたしはこの商品を使ったことがありませんので、使い勝手はわかりません。
「類似品がアマゾンにありました」というご報告まで。

しかし、なんでピザ推しなんだろう?
説明に「ピザ以外にも、冷凍 お好み焼き・タコ焼きなど様々な食品の調理に対応します」とあったけど、ずいぶんとニッチなものばかり並べてるのは何故だ? 特許回避なのか?

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レンジメートpro

テレ朝の『じゅん散歩』を見ていたら、通販のCMで『レンジメートpro』ってのが宣伝されていたので、調べたところアマゾンでも売っていました。

¥12,650 税込

しかしたっかいですねー、メーカー希望小売価格と同額だよ。

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不思議なお皿を使った調理例

レシピ本の『カボチャの蒸し煮』を作ってみた

カボチャが安い時期になると、わたしは『カボチャの蒸し煮』を作って常備食にしています。
カボチャは栄養がありますからね。

使うのは、中くらいのサイズのカボチャ 1/4 カット。

適当に切り分けて塩コショウして

レンチンする

・付属のレシピ本『カボチャの蒸し煮』
■■カボチャ290g、塩・胡椒。
■■蓋をして750W で 5分。

・今回の材料
■■カボチャ1/4玉、378g、196円、メキシコ産

うちのレンジは 600W なので、調理時間は
(378g/290g) * 5分 * (750W/600W)
= 8.14655172
≒ 8分 8秒

面倒だけど、これをちゃんと計算しないと高確率で失敗するんだよ。
焼き過ぎると、皿との接触している部分の水分が抜けてカチカチに固くなる。
加熱不足なら生焼けで、カボチャに芯が残って齧ると食感がゴリゴリする。

出来上がり。

旨かった!

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トンテキなんかも焼いてみた

レシピ本には”ステーキ”と書いてあるが、”ビーフ”とはどこにも書いていないのでポークでトンテキをやってみました。(どうしてビーフではなくポ-クなのかは、安かったから)

焼き目とかがわかりやすくなるように、嗅覚や味覚を惑わされることのないように、味付けはシンプルに塩コショウのみ。お肉は2枚で 240g 。お値段は 312円。

・付属のレシピ本『ステーキ』
■■ステーキ肉 120g、塩・胡椒。
■■蓋をしない750W で 2分、裏返して1分となっていた。

うちのレンジは600Wだから、ちゃんと計算すると
5分0秒 ← (240g/120g)*2分*(750W/600W)

なのだけど今回はお肉が豚ということもあり、ちょいと長めにしてやった。
蓋をして、600W で 6分、裏返して3分でやってみた。
それに、長めに焼いた方が、焼き目がビシッと付いて映えるんじゃないかと考えたんだ。

で、できたのがこれだ!

あれ? 焼き目が無いけど…
むろん裏にも焼き目は見当たらんなぁ…

敗因はおそらく蓋をしたからじゃないだろうか?

肉は縮んでおり、縮んだ分は肉汁となって皿に溜まっている。
蓋をしたから肉汁が蒸発できずに溜まっちまったんだろう…

皿の底に水分が溜まっていたら、皿は焼き目が付けられるほど高温にならないのかもしれない。
レシピ本で使っている電子レンジは750Wだ。うちのは600W。
このあたりも関係しているのかもしれないな。
多少長めに加熱したところでダメなのかもね…

じゃぁなんでお前はレシピ本を無視して蓋をしたんだ?

ですよね~

理由は、電子レンジの庫内を汚したくなかったから
やっぱり食材が爆ぜるんですよ。

今回も10回ほど爆ぜていた。
重い蓋がガチャッと音を立てるほど盛大に爆ぜていた。
蓋が無ければ、とうぜん飛び散ったはずだ。
飛び散れば掃除がたいへんなわけで、それを嫌って蓋をしたのだ。

でもまぁ、ちゃんと火は通っていました。

味は旨いです。そして香りも良い。

焼き目の問題は、焦げやすいソースで味付けして焼いたら上手くいくんじゃないかな?

ほら、スーパーでトンテキ用に味付けした肉が売ってますよね。
あれ使ってやったらいい感じになるかもしれません。

まぁでも、味も香りも良かったんだから問題なし!

電気代高騰のためにエアコンを切ったクソ暑い部屋で、
火を使わずにトンテキが焼けるんだからありがたいことです。

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味付けトンテキなんかも焼いてみた

近所のスーパーで、お料理弱者の強い味方である味付けトンテキを仕入れてきました。

不思議なお皿でチンするとこんな感じになりました。
蓋はしないで、加熱時間は前回のトンテキと同じ計算方法でやっています。

なぜか全然爆ぜなかったけど、なぜだろう?
肉の厚さとか、筋とかの関係だろうか?

フライパンで焼いたのと比べて遜色ない出来栄えです。
味も香りも食感も、良い意味で普通。

ピーマンでも入れていっしょに焼けばよかった。
これで大盛りの白飯がワシワシ食える。

真夏のクソ暑い日に、火を使わず短時間でこれができるのは有難いよ。

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『FIRのふしぎなお皿』の加熱の仕組み

『FIRのふしぎなお皿』の FIR とは、遠赤外線(FIR=far infrared rays) のこと。

わたしはてっきり FIR とは、超科学的な特殊発熱素材なのかと思ったのですが、素材ではなく遠赤外線のことでした。

普通に遠赤外線って表示すればいいのに、なんでまたFIRなんて書いたんだろう? FIRが何を意味しているのか、知ってる人って少ないんじゃない? 理系脳の人ならデジタルフィルタの Finite Impulse Response が最初に頭に浮かんだんじゃないかな?

まぁそれはそれとして、”不思議”な発熱の仕組みについてです。

一般的な電子レンジでの加熱の仕組みは、2.4GHz のマイクロ波を水の分子に照射することで、電気的に双極子を形成している水分子を、電磁波で激しく振動させて熱を発生させています。

これを誘電体吸収材料の、誘電損失による発熱現象と言います。(言ってみたかった(;^ω^))

でも、この『FIRのふしぎなお皿』の発熱の仕組みは、誘電損失による発熱現象ではないと思われます。

説明書には「無機炭素を磁器に調合した強い器です」と書いてありましたが、発熱の仕組みについては書いてありませんし、どんな無機炭素の化合物を使っているのかも不明です。

というわけで、ここからはわたしの推測ですが、おそらく使っているのは『黒鉛』

黒鉛でマイクロ波の電界を捕らえ、誘電損失ではなく、抵抗損失によって発熱させているのだと思います。

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黒鉛(グラファイト)を使っていると推測する根拠

水の比誘電率が 80 であるのに対して、黒鉛は 12 に過ぎず、黒鉛で誘電損失による発熱は期待できません。

黒鉛であろうと推測する根拠は次の通りです。

  • 適当な電気抵抗値を持った導体である
  • 耐熱性が高い
  • 加工が簡単
  • 安価である

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黒鉛(グラファイト)は、なぜ導体なのか?

炭素には価電子が4個あり、黒鉛の電子軌道が sp2 であることから、電子が1個余る。
この余った電子が自由電子のように働き、黒鉛は適当な電気抵抗を持った導体になります。

同じ炭素の塊でも、ダイヤの場合は sp3 混成軌道を取るので、電子がすべて結合に使われてしまって絶縁体になります。

絶縁体では電流が流れないので、マイクロ波を受けても抵抗損失は発生せず、発熱しません。
つまり、ダイヤは使えない。(もし使ったら、皿はスゲェ値段になるんだろうな)

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導体を電子レンジに入れてチンするとどうなるか?

マイクロ波の電界の作用によって導体中に電流が流れ、抵抗損失によって発熱します。
鉄とかアルミは電気抵抗が低すぎて、表層で激しくスパークしてしまうのですが、適当な抵抗値を持った物質だと内部まで電流が入り込み、抵抗損失によって全体が加熱されます。
たとえば電子レンジに黒鉛を入れると、マイクロ波の電界の影響により電流が流れ、抵抗損失によって発熱します。
シャープペンの芯を、電子レンジに入れて加熱する実験をやっている勇者がいました。(私じゃないのが残念です)
(電球、グロースターター、蛍光灯、スチールウール、シャープペンの芯)

【豆知識】電子レンジのマイクロ波の周波数は、なぜ 2.4GHz なのか?

これは電磁波と水の分子との、物理的な関係から 2.4GHz に決まったわけではなく、以下の理由から決定されました。
  • さまざまな食品の熱浸透の経験的測定
  • マグネトロンのサイズに関する設計上の考慮事項
    (レイセオン社とGE社が 1946年に FCCに提案したもので、2.4 GHzについての決定が下された)

つまり、物理学的理論によって導き出された周波数ではなく、現物合わせと、技術的な制約による都合から決められた周波数ってわけですね。

【豆知識】電子レンジを作ったのは誰なのか?

パーシー・L・スペンサー(Percy LeBaron Spencer、1894年7月19日 – 1970年9月8日)というアメリカの方です。

1920年代にはレイセオンに入社し、1945年に電子レンジを発明しました。
そして、1947年にはレイセオン社から製品が出荷されています。

ちなみに、レイセオン社はレーダーとかミサイルを得意とする会社です。
かの有名なパトリオットミサイルやスティンガーミサイルもレイセオン社の製品になります。

――出典: wikipedia

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まとめ

電子レンジで焼き物ができるという面白い調理器具なので、一枚はあっても良いのではないでしょうか。有田焼で見た目も良いですしね。
良い点
  • 空気を汚さないから換気が不要(エアコンの時期には有難い
  • 焼き芋が簡単に美味しくできる(これは旨い!)
  • お勧めはしないが焼き魚だって焼ける(レンジで焼き目が付く)
  • 意外とこびり付きにくい。
  • 料理弱者にはありがたい。(食材ぶち込んでチンするだけ)
いまいちな点
  • 高価
  • 焼き芋以外はフライパンの方が簡単だし、旨いものができる。
  • 爆ぜる食材はきっちり爆ぜる。(レシピ本で「蓋をしない」と言われても困ります)
  • 汁の出る食材は、蓋をすると焼き目は期待できないかも。
料理弱者の怠惰な方に特におすすめの逸品です。
やっぱ、一番の問題は値段なんだよなぁ…

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