ボタンの効かないリモコンの修理(ダイキン AN40PRP-W、ARC472A11)

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DIY

エアコンのリモコンの「暖房」キーが反応しなくなったので修理しました。
機種は、このブログの問題児である 2014年製ダイキン AN40PRP-W のリモコン ARC472A11。
買ったら1万円近くするので、修理するっきゃないです。また、良く紹介されている銀紙を貼る修理方法はヤバくね? という警鐘も鳴らしています

youtube に動画も上げてあります。

この記事はユーチューブに動画も上げていますので、遠慮せずにそちらもご覧ください。

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まずは症状など

機種と愚痴

エアコンのリモコンの「暖房」キーが反応しなくなったので修理します。

機種は、このブログの問題児である
2014年製のエアコン
ダイキン AN40PRP-Wリモコン ARC472A11
です。
そうです。
当ブログではすでに3回も登場している、ネタの宝庫的やっかい物です。
このリモコンは買ったら1万円近くするので、
のら犬風情の貧乏人のわたくしといたしましては、修理するしかないのです。
だいたい、大晦日になるまでエアコン暖房を使わないで、
アマで3千円で買った怪しげな中華製の暖房器具、
『あったか足入れヒーター 』 でがんばってきたというのに、
ここで1万円かけてリモコンを買うわけにはまいりません。

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症状

症状:「暖房」キーを押しても反応しません。

キーを押すと液晶パネルのバックライトが点灯するはずなのですが、まったく無反応。
こういうのはまんずキー接点の接触不良でしょうね。

他にも反応がイマイチなキーもありますが、完全に無反応なキーは「暖房」キーだけです。

大体は長年の使用で内部に汚れが入り込んで、接触不良を起こしているケースがほとんど。

フライドチキン食ってるギトギト指で扱ったり酒を飲ませたりしたことあるでしょ。
そういうのが積もり積もった結果ですよ。
このリモコンだって10年選手だから、さぞやいろんなモノを食わされたりしてきたんでしょう。

つまり、リモコンのキーが効きにくくなってきたら、
たいがいは掃除すれば直るってことです。

ビーグル1(左)
のら犬

このエアコンはわたしが購入したものではありません。
中古で買った、このボロマンションの前の持ち主の糞デブ爺が、

恩着せがましく置いて(捨てて)行った物です。
まぁこれがひでぇシロモノでして…

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分解

リモコンなんてさ、壊れるほどの部品は入ってないのよ。

だから「キーが効かない」とか「キーが効きにくい」とかのトラブルは
ほぼ100%がキーの電気的な接触不良と見て間違いない。

つまり、開けて掃除すればほぼ100%直ります。

ビーグル1(左)
のら犬

厳密には「導電ゴムの劣化」が原因であることもあります。

この場合は、拭くだけの楽ちん修理ではダメでしょうね。
だからと言って泣くことはありません。
直し方は後述します。

でも、この筐体の開封がもっとも厄介なんですよねぇ…

故障するようなリモコンは、大体10年選手でしょうから、樹脂の劣化も進行していて、
開けようとコジったとたんにバキッと行くことも珍しくありません。
ってか、かなり高確率でそうなります。

とはいえ、ケースなんて多少割れたところで機能に影響はありませんし、
エポキシ接着剤や、瞬間接着剤+重曹で補修してしまえば問題ありません。

ビーグル1(左)
のら犬

ケースを開けると決意したら、「割れて上等!」ぐらいの気持ちで臨んでください。グッドラック!(^^)/~

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二重キーのカバーを外す

このリモコンには小賢しい機能がワンサカついています。
正直とてもうざいです…
このおかげで値段は上がるは、やたらとメカが増えて室内機のクリーニングを難しくしています。

わたしなんざ、組み立ての度にネジが余りまくるんですからね…

あ、今回はリモコンの故障でしたね。すいません話を戻します。

あんまり使わない機能を設定するために、キーが二重構造になっているので、
まずその上側キーカバーを取り外します。

突起が1mmくらいハマっているだけなので、
勘合部にマイナスドライバーなどを突っ込んでコジれば簡単に外せます。

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メインカバーを外す

続いてメインカバーを外します。
まずは4か所のネジを外します。ネジはこれだけです。

あとは力ずくで殻割りするわけですが、
外し方がわかるまでが大変なんですよねぇ…

やっとわかったのが以下の方法。

ケースの両脇にあるキーカバーの固定穴に薄くて固い金属ヘラを差し込んでスライドさせつつ、
手で上下ケースを引き剥がします。

コツとしては、深く差し込んで、リモコンの頭側(赤外線通信部)に向けて
ヘラをスライドさせます。

ちなみに、こういう工具を揃えておくと便利ですよ。
(私の使ってるものは廃番になったようなので、似たようなのですけどご参考まで。


上下ケースの勘合部の窪みはこのような形状です。

そしてこれが分解したところ。

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調査と修理

基板の部品面の面子はこんな感じです。
赤外線の送受信部」「CPU」「電源部」。
じつにシンプルです。

CPUはエプソンの1.2Vの低電圧動作 16bit CPU です。

●EPSON: S1C17703F10
16ビットマイコン S1C17 Family
1.2V動作を実現した「S1C17W00シリーズ」
低電圧動作・低消費電流の「S1C17W18」

足がわんさか生えている理由は、制御対象がLCDとキーSWしかないのですから、
ほとんどがLCD制御のためのピンなのかな? 知らんけど。

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修理

●結果:基板の「暖房」キーの接点が汚れていました。

写真の真ん中にある KEY5 が問題の「暖房キー」の基板側の接点です。

いかがでしょうか?
一見して KEY5 が汚れていることが見て取れますよね。
拭けば直ると思われます。

では修理しましょう。と言っても無水エタノールで拭くだけですけど。(;^ω^)

不思議なのは拭いたティッシュが青く染まったこと。
これまでの人生で何度となく基板を拭いたけど、青く染まったことなんて経験したことはない。

鮮やかな青色だから、どうせ前の持ち主の孫あたりがなんかやったんだろう…

拭き上げて綺麗になりました。
おそらくこれで直ることでしょう。

次に導電ゴムの状況を見ておきましょう。
下の写真の真ん中の導電ゴムが「暖房キー」なんですが、なんだか様が見えますねぇ…

形状から、どうやら基板側の接点パターンのように見えます。

2千円の中華マイクロスコープでも見てみたのですが、この模様の構造はよくわかりません。
おそらく基板のパターンを押し付けることでできた窪みなのかな?
しかしひでぇ画質だこと…

この模様は拭いても変化が無かったので、物理的な窪みなんだと思います。

ああ、もうちょっとイケてるマイクロスコープが欲しいなぁ… (´-ω-`)

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導電ゴムの抵抗を測定

導電ゴムの抵抗を測定してみました。

●結果:導電ゴムの抵抗値は妥当な値でした。(たぶん)

テスターのプローブの間隔は、およそ5mmです。

うまく測定できません…
テスターの検知棒の押し付け方で変化してしまうので、測定値が安定しないのです。

だーいたい、2KΩ~4KΩってところかな?

実際は導電ゴムと基板のパターンは面で接触するので、
テスターでの測定値よりもだいぶ低くなるはずです。
おそらくこれで問題ないんじゃないかな?

というのは、ワンチップCPUのI/O端子の内部プルアップ抵抗は50KΩ程度なのが普通だから。

そうすると、キーがONしたときのCPUのI/O端子の電圧は、
電源電圧の 4/(50+4) ≒ 7.4% 
となります。

ビーグル1(左)
のら犬
つまり、キーがONしたときの I/O 端子の電圧は、
0.074Vcc になるというわけね。

他のCPUの話ですが、たとえばAVRだと VIL は 0.2Vcc
つまり電源電圧の20%を下回ればLowと判定します。

7.4% なら十分だと思われますし、実際にはテスターの検知棒の先みたいな点での接触ではなく、面で接触するので、抵抗値はさらに低くなるはずだから大丈夫でしょう。

S1C17703F10 のデータシートを取り寄せればハッキリしたことが言えるのですが、
なんか登録とかしなきゃならんみたいだし、
あとから代理店が電話かけてきたりしたらイヤなんだよね。

チキンハートなので、用途を聞かれて「ブログです…」とか言う勇気なんかない…

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シリコンゴムの劣化について

●シリコンゴムの劣化

シリコンゴムは熱にも化学的にも強くて、大変優秀なゴムなのですが、

唯一苦手な攻め摩擦のようですね。

シリコンゴムは劣化がしにくいゴム素材と言われています。
その理由は、対候性に極めて優れた特性を持ち、コロナ放電によって発生するオゾンでもシリコンゴムはほとんど影響を受けないためです。

  • シリコンゴムの耐摩耗性は一般的にあまりよくありません。そのため、摩擦による劣化が起きやすいと考えられます。
  • シリコンゴムは、耐溶剤性・耐薬品性に優れた特性を持っており、極性有機化合物に強く、アルコールやアニリン、希酸、希アルカリにほとんど侵されません。
  • シリコンゴムは、耐熱性・耐寒性に極めて優れた特性を持っており、150℃ではほとんど特性に変化が無いため、この温度帯では半永久的に使用することが可能です。
  • シリコンゴムは、対候性に極めて優れた特性を持っており、コロナ放電によって発生するオゾンでもシリコンゴムはほとんど影響を受けません。
  • シリコンゴムは、長い時間の間、水に漬けても吸水量が1%ほどと、耐水性に極めて優れた特性があり、冷水、温水であっても吸水量はかわらず、強度や特性にほとんど影響しません。

出典

シリコンゴムの劣化について解説。シリコンゴムの物質的劣化
【関連製品・関連情報】 シリコンゴムは劣化しにくいの? シリコンゴムの特性一覧。16の一般特性・機械特性を解説

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動作チェック

「暖房」キーが反応するようになったかどうかのテストをやります。

ダメだったときにまたバラすのが面倒なので、
電池とキーパネルと、必要最低限の部品を組んでチェックすることにします。

「暖房」キーをポチッ!

はい、あっさりと修理成功です!
反応してLCDバックライトが点灯しました。

まぁ、拭いただけですけどね。でも修理は修理なのだ。
それでも結構うれしいのだ。(;^ω^)

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リモコンのアルミフォイル修理はヤバイという話

リモコンの、キーが効かなくなった時の修理方法に「アルミフォイルの貼り付け修理」があって、動画でもブログでもよく見かけます。

でもこの方法って、下手すると出火して火事になる危険があります。
可能性は低くても、万が一のことがあると被害は甚大なので、リスクは避けた方が賢明です。

なぜ出火の危険があるかというと、アルミフォイルと電池を使って火起こしが可能だから。

サバイバル術にアルミフォイルで火を起こす火起こし術があります。
「アルミフォイルで火を起こす」で検索すればいっぱい見つかりますよ。
たとえばこことか

なんか簡単に、一発で燃え上がっていますね…

わたしもやってみたくなったので、灰皿を持ってきてやってみました。
火口にはティッシュペーパを用意して、乾電池はもったいないけど新品の単二電池です。

失敗しました…

焦げ穴はできるのですが、炎が出ません。
エタノールかけても燃えんかった…

失敗の原因は、アルミフォイルがあっという間に焼き切れてしまうから。

ビーグル1(左)
のら犬

上手に火をつけるコツは、

熟練者が動画でやっていたように、焼き切れたらそれで終わるのではなく、
切れたアルミフォイルの先端をチョンチョンと接触させ続けて、
連続的に火口を攻め立てないといけないようですね。

わたしは失敗しましたが、これはわたしの放火技術が拙いためです。
魔が差す瞬間、不幸な瞬間には、悪魔は針に糸を通すように悪さをしてきますからね。

長年の使用でキーの隙間から油まみれのゴミが入り込み、
それが運悪く電源ラインの周辺に堆積する。

そこに運悪く剥がれ落ちたアルミフォイルが挟まって、運悪くゴミが燃え、
運悪く筐体の樹脂を燃やし、そして…

てな具合に、最悪の事態になることだってあるとボクは思うんだ。

だからアルミフォイルなんて貼らないで、以下に示す方法で修理してくださいな。

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導電ゴムの劣化が原因だった場合の修理方法

導電加工の種類

導電加工には以下の種類があります。

  1. 導電滴下(ポッティング)印刷タイプ
  2. 導電シルクスクリーン印刷タイプ
  3. 導電ラバーのインサート成形タイプ

下に行くほど高級で高価で高耐久性となります。
出典

シリコーンゴムのコンタクトラバースイッチ・接点ゴムの製造販売
テレビやエアコンのリモコンで使われているシリコーンゴムのコンタクトラバースイッチ(接点ゴム)を多種多様な仕様で設計から成形、印刷まで一括で国内の自社工場で対応しております。

修理方法1)劣化した導電ゴムを削る

上手くすれば劣化した導電ゴムの表面を少し削れば直ります。

削る方法は

  1. 砂消しゴムや、目の細かいサンドペーパーを使う。
  2. ナイフで薄く削る。(難しいけどねぇ…)
  3. 表面を高温のコテでサッとひと舐めする。←わたしはやったことないけどね(;^ω^)

方法1で上手くいかなかったら、さっさと諦めて、
次の示す導電ゴムの張替えをやった方が良いと思います。(;^ω^)

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修理方法2)交換用の導電ゴムを使う

導電ゴムの劣化が原因だった場合には、交換用の導電ゴムを貼り付けます。
これならば電気抵抗が大きいので、剥がれ落ちてもアルミフォイルみたいに出火することはないので安全です。

交換用の導電ゴムはアマゾンで買えます。


交換用の導電ゴムを貼る時に使う接着剤には、
シリコンゴム対応品&柔軟性(セメダインスーパーXなど)を使う必要があります。


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まとめ

  1. キーの故障はだいたい汚れ。拭けば直る。
  2. ダメなら導電ゴム貼り換え。アマゾンで売ってる。
  3. 接着剤はシリコンゴム対応品を使う。
  4. 銀紙を貼るのはヤバイ。下手すると燃える。
  5. でも故意にやってもうまく燃えない。(収れん火災よりは確率高いかも?)

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