この記事は、液晶TV REGZA 19A1K の第2話になります。
第1話では、本来の不具合である「時間がたつと電源が落ちる故障」が再現しなくて、仕方がないから新たに発生した「音が出ない故障」の修理を行いました。(正直チョロかったです)
でも本命の故障の修理じゃないので、まぁ負け戦みたいなものでしたね。
そこで、今度こそは勝利するぞと、鼻息も荒々しくリベンジに挑みましたが、悲劇が発生して…
状況説明と、犯行の自供
絵も音も出ません。主電源を操作しても電源LEDは消えたまま。
電源コンセントに繋いでいないのと同じ状況です。
ただ困ったことに、なにもしていないのに直ったりします。
の、はずだったんだけど、二次災害を発生させてしまった。バチバチッと火花が飛んで、部品が大量死… まいったな…
軽い気持ちで電源基板をチェックしてたら…
電源回路の電解コンデンサをチェックをする際に、ちゃんと取り外せば良いものを、面倒くさがって基板背面から新品の電解コンデンサをチョンチョンと接触させて動作の変化を見るという、野蛮なモンキーチェックをやったもんだから、ツルッと手が滑ってバチッ!と火花が散りました。
ああ、やってしまった… 火花が飛びはった…
すかさず「後悔先に立たず」とか、「急がば回れ」とか、そんな言葉が浮かぶけど、わかってるけど止められないのが横着なんだ。
ちなみに YouTube 動画もございます。
ちなみに動画もございます。
壊した部品の特定
泣いてばかりもいられないので、ぶっ壊してしまった部品の特定作業を始めます。
逝き方がヤバかったので、電源を入れるとさらにヤバイ深淵に沈む可能性があります。ここは慣れない賢人となって、電源を入れずにテスターのみで調査を実施します。
R110(0.39Ω/2W)のチェック
まずは、インバータ用の Nch-MOS FET のソースに繋がっている R110(0.39Ω/2W)のチェック。
(動画では「ドレンに繋がっている」と言っていますが、正しくは「ソース」です)
この抵抗は FET の負荷電流測定用のものなので、抵抗値は 0.39Ωと低いはずなのだけど、テスターは KΩレンジを示しています。これはつまり、お利口さんの読者様ならすでにお察ししていらっしゃると思いますが、完全に壊れています。
断線するような破壊を起こしていても、この金属皮膜抵抗の外観には何の変化も見られません。綺麗で、新品と変わらないオボコ娘っぷりです。これは見かけを信じてはいけないっていう暗示に違いありませんね。コワイコワイ… (なにがだ?)
Q110 (FET, TF4N60) のチェック
これは逝ってるであろうな、と沈痛な表情を浮かべて Q110 (FET, TF4N60) のチェックを開始。
Nch-MOS FET の全端子間の抵抗が0Ω。ちょうど中にハンダが詰まっているのと同じ状況です。つまり、完全に壊れています。だけど、こいつも見た目は綺麗で新品同様なんですよね。
ちなみに、データシートの抜粋はこんな感じ。
PWMコントローラの U101(LD7577JACS)のチェック
いかつい抵抗や FET が逝ってるとなると、ひ弱な PWM コントローラ U101(LD7577JACS) が無事だとは思えないのでチェックする。
やっぱりね、PWM コントローラの電源端子とGND端子の間の抵抗を測定したところ、だいたい4Ωでした。基板に実装状態とはいえ、こんなに低いとは思えません。おそらく壊れていると思われます。外して再チェックしてみましょう。
壊れているであろう部品を外して再チェックする。
PWMコントローラの U101(LD7577JACS)は、SOP8 なので半田ゴテを2本使えば野良犬でも外せます。
取り外された殉職者の皆さんです。
テスターで再チェックしたところ、完全に成仏していることが確認されました。PWMコントローラの VCC-GND 間の抵抗値も、基板に実装してあった時と同じで 3.8Ωでしたので、誤審は無いです。逝ってます。
閑話休題(ところでFETってさぁ)
ちょっと脱線します。
Nch-MOS FET の構造と、シンボルに関係するお話です。
動画ではここでやっているのですが、ブログでは別記事にしました。
ぶっ壊した部品の手配
Nch-MOS FET の TF4N60 は入手できなかったので、特性の近い 2SK3115 を秋月で買いました。60円/個でした。
秋月電子通商
金属皮膜抵抗(MOSX)2W 0.39Ω はマルツで購入。30円/本。
マルツエレック
問題は PWM コントローラの LD7577JACS です。
こんなもん売ってんのかよ…
と探し回ったら、なんと ebay で売っていました。(驚き!)
ebay
5個で 710円で、これに送料 284円かかって、合計 994円。
いやはや、まさかこんな中華チップ入手できるとは思わなかった。すごい時代になったものです。
それどころか、なんと電源基板そのものまで ebay で売っていました。
2,974円ですから、わたしがプロの修理屋なら、これを買って入れ替えて修理完了にするだろうな。
ちなみに基板を探す際のKey文字列は、このバーコード下に記されていた『PK101V1700I L10-049N1A』で検索しました。
壊れた部品を取り換えた結果は?
思ったより長くなってるので、ここで区切りますね。
続編はこちらからどーぞ