【体験談】空き巣に入られた! 捕まったのは信用していた人でした…

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寝言

ちびちびとお金を貸していて、それが一定額を超えたときに空き巣に入られ、警察沙汰になった話

プロローグ

お金を貸した相手は12歳年上の会社の同僚でした。

部署が違ったので、上司と部下の関係ではなかったけど、その人は年が離れているのに、なぜかわたしによくしてくれた。休みの日には会社の車を使って二人で海へ行き、釣りをして、車中泊とかして、いっしょに遊んだ。

釣った魚は、怪しい魚だろうが変な魚だろうが、全部その場で焼いて食べるという、今考えればけっこうヤバイゲームをしたりしてた。カニとか妙に苦かったりしたから、きっと毒あるやつも食ってたとおもう。

堤防から下を覗いていて、たまたま見つけたご禁制の貝(サ〇エ)をひとつ捕まえて、車で遠くに逃げてから、焼いて賞味して「うんめぇー!」と笑った。馬鹿っぽい遊びや、ちょい悪な行為を共有することで心の絆は深まって行った。

お互い色々な過去があって、辛い状況でもあったし、ともにぼっちだったので、そうやってお馬鹿だけど無邪気な遊びに夢中になることが、このうえなく楽しかった。若かったからね、寒くても暑くても、土砂降りの雨も楽しめたし、なにを食っても旨かった。

そういうことが2年ほど続いたのかな? 正確にはもう思い出せない…
その人は「自分の会社を起こす」と言って会社を辞めた。
辞めた後も、わたしとの友人関係は継続した。

やがてその人は再婚し、新居に招かれて晩御飯をふるまわれたりもした。

初めはそこそこ順調そうに見えた会社だったけど、やがて経営に陰りが出てきたようで、その人の表情も次第に冴えなくなっていった。

そんな状況だったけど、またわたしとのおバカ釣り車中泊遊びが再開することになった。楽しかったころの遊びに興じて、気を紛らわせたかったんだろうな。

その人は関西人だけど、知り合ったのは東京。会社を作ったのも東京でした。

「忙中閑やでぇ」が、その人の口癖だった。

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悪いけど2万貸してくれへんか?

「悪いけど2万貸してくれへんか?」と言われ、「いいですよ」と貸した。

これが最初の一歩。初めての借金の依頼だった。
そして借金の依頼は、それ以降も続くことになった。
あるときは2万、あるときは5万…

そして「あと15万だけ貸してくれへんか?」と言われた。
「あと15万で、ちょうど50万になるし、キリがええやん、な?」

ちょうどいいことのメリットは不明だったが、
わたしにとってこの人は50万以上の価値があったから「いいですよ」と貸した。

この、「あと〇〇万円でキリの良い金額になるから貸してくれ」というヤバイ台詞。
今にして思えばこれが、”金を返す気がなくなった”ことを示すサインだったのだと思う。

借金を踏み倒した二人ともが、この言葉を発した直後に事件を起こした。
これ読んでいる方は、この言葉には気を付けてくださいね。

この言葉は、最後に少しでも多く毟ろうとして出る言葉です。

それからしばらくして、深夜に「わりぃ、今夜泊めてくれへんか?」
と言ってわたしのアパートに現れた。

なんでもすでに大阪に転居していて、東京へは出張で来たんだけど、帰りの新幹線のチケットが取れなかったそうで、貧乏だからホテル代を浮かせたいと言っていた。

これまでこの人を自分の部屋に泊めたことは無かった。
でも、六畳一間の狭いアパートではあったが、狭い以外に断る理由も無かったので泊めてあげることにした。

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銀行の口座のお金が消えた…

それから一か月くらい時が過ぎたころ、生活費を下ろそうとATMに寄ったら、
残高不足で下ろせなかった。
200万以上あったはずなのに… わが目を疑った…

ほかの銀行にも多少はあったものの、当時のわたしの全財産の大半がワケワカラン理由で消えた瞬間だった。

あのときの血の気が引く感覚は忘れられない。
ゾクゾクするような、寒気を伴う緊張感に震えた。

なにかの間違いだろ? 銀行の技術的なトラブルとかで、一時的にこうなってるだけなんだろ? そう思いたかった。帰り道ではそう思い込もうとした。

次にATMに行ったら、何事もなく元通りになってるはずだ。そうであってほしかった。

だけど、翌日も預金は消えたままだった…

今回は通帳を持って行ったので、引き出し記録を見ると、
たしかに一気にお金が引き落とされていた。
むろん身に覚えはない。

この時点でもまだ、銀行側の手違いだと思っていた。
そう思いたかった。それなら笑い話で済ませられるから…

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バチクソ態度の悪い銀行員が現れた

銀行に行って相談しよう。

どこの支店で引き落とされたのか、それぐらいならわかるだろう。

そこまで確認して、銀行側が自分たちの落ち度ではないと主張したら、
そのときは警察に届けよう。そう決めて銀行に足を運んだ。

そこで出てきた若い銀行員に、とんでもなくに無礼な対応をされた。
まるで中学校でのイジメみたいな、態度と台詞だった。

事情を説明したところ、頭から狂言とみなして薄ら笑いで「へーおもしろいね」と、見下した態度。脇を通りかかった同僚の女性にわたしを指さして「金盗まれたんだってさ(笑」と言った。
その若い女性行員までもが、「きゃはは」と笑って通り過ぎた。

なんだここは、小学校なのか?

あまりの扱いに、アルパカなみに温厚なわたしも、語気を荒げざるを得なかった。
しかしその若い行員は態度を改めない。

10分くらい押し問答しただろうか? もっとだったかもしれないが、もう思い出せない。

やり取りのたびに怒りと憤りが蓄積し、臨界に近づいてゆくのを感じていた。
だけど、その若い無礼な行員の態度は最後まで改まることはなかった。

なんだってこんな扱いを受けるんだ?

わたしはそのあと会社に行くつもりだったのでスーツを着ていたし、どうしてそのように無礼極まる態度をとられたのか、今もってわからない。泣きっ面に蜂とはこのことだ。

モメているのを見かねて、奥から上司らしき爺さんがやってきて、初めて会話が成り立つことになった。不正に引き落とされたかもしれない支店が、どこであるのかは調べればわかるが、そういった情報を公開するには警察の立ち合いが必要だとのことだった。

頭に上っていた血も下がり、これで警察に事件として相談する踏ん切りがついた。そして、悲しいほどのお人よしのバカチンは、この時点でもまだ犯人が誰だか見当が付いていなかった。

ちなみに、このバチクソ銀行はメガバンクと呼ばれる都市銀です。
実はこの一戦の後、他の口座のある信用金庫にも行って残高の確認をして、事情を話した。信用金庫での対応は天と地ほども差があった。親身になってくれたのだ!

ほんとうに救われた思いだったので、ここに記しておきます。
○○信用金庫サイコー!
この画像の近くにあった信用金庫

今日はもう会社に行くのはやめにして、その足でアパートの近くの交番に行った。
そして警察官に一部始終を話したら、「そういうことなら刑事を呼ぼう」ということになった。

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刑事さんがギロ眼で登場

刑事たちはすぐにやって来た。たしか4人だったと思う。

40代はじめから、50代くらいだっただろうか。刑事ドラマで見るようなスーツで決めた人も、リーゼントにグラサンのヤンキーみたいな人もいなかった。ごく普通の、そこらへんの商店街で店員でもやってそうな、枯れた風情のおっさん達だった。

そりゃそうだ。制服警官と違って、目立っていては仕事にならんもんな。人生で初めて会った、刑事という人たちの印象は、「なんて普通で地味なんだろう」だった。

しかしだ、またもやわたしの狂言を疑っている気配で、さっきの銀行員みたいな無礼極まる態度ではなかったものの、ギラギラと見開いた威嚇的な目つきと態度は嫌だった。

とくに一番若い40代初めくらいの刑事は、「てめぇ、嘘つきやがったらタダじゃおかねぇぞ」と、目玉でギョロギョロ演技していてオッソロシイったらなかった。日頃やんちゃな兄ちゃん相手に鍛えてる眼だったなぁ…

交番で集合したので、歩いて数分のアパートまで案内した。

そしてまず、わたしの両手の指と手の平の指紋をとってから、部屋中をほじくり返して調べられた。クローゼットの中や本棚の後ろはもちろん、風呂場の天板も開けて中を調べられた。

クローゼットの中の秘蔵のエロ本まで発掘された…

見て見ぬふりはしてくれていたけど、まったく想定していなかった羞恥プレイだった。
性癖まで知られてしまった情けなさに体が震えた…

刑事たちは、いったいナニを探していたのだろうか? 狂言で隠した現金か? おれの性癖か? これも今もってよくわからない。

さんざんわたしを疑って、あっちこっちひっくり返して、付着した指紋をとり、やっと気が済んだらしく、刑事たちは少し目つきと態度を柔和にして言った。

「いっしょに銀行に行って監視カメラを見ることになると思うので、後日連絡します」
そう言って刑事たちは帰って行った。

ひでぇ一日だった。大金を失った被害者は自分だというのに、なんだよこの世間の冷たさは!

最後に刑事たちが優しくなったことが唯一の救いだった。
あれが無けりゃ、泣いちゃったかもしれないぞ。性癖知られたし (;_;)

ひょっとしたら無敵の人になって、あのバチクソ銀行を爆破したかもしれんのだぞ…

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銀行の監視カメラ

5分前に待ち合わせ場所の銀行の前に到着すると、刑事が先に来ていた。

あの40代初めくらいのギロ目の刑事だった。「あっ!、おはようございまぁーーーす!」と、刑事は笑顔で片手を挙げてそう言うと、ピョコッと頭を下げた。

まじかよ、この前とまるで別人じゃん。
逆に気圧されてしまって「あぅ、あぅ、あはようございます」なんて挨拶を返してしまった。

銀行の会議室みたいな部屋に通されて、そこでVHSのビデオを見た。刑事は行員に「監視カメラ見るの初めてですか? けっこう経験あるんじゃないですかぁ?」などと冗談を言って和ませている。

ビデオの解像度は良くなかったけど、見まごう事なき人物が映っていた…

ショックだった。数秒は息が止まった。疑っていなかったからね。
でも、ビデオの画面に映ったおっさんは…

「知ってる人?」刑事に聞かれた。
「ええ。とてもよく知ってます。○○さんです」そう返事すると、
「気を確かに持ってね」刑事は優し気な声で言った。

ショックだったけど、それで倒れるとか、動転して取り乱すほどのことでもなかった。

それより、まとまった金が要るなら、なんでそう言ってくれなかったのか?
それがなんとも悲しかった。

言ってくれていたら、そこは馬鹿でお人好しなわたしのことだ。
貸してしまったかもしれないのに…

盗んだりするから警察沙汰になっちまったじゃないか。
警察沙汰になった以上、被害届を取り下げても窃盗の前歴は残ることになる。
奥さんと、生まれたばかりの娘さんに気の毒だろう…

あとはもうわたしの手を離れて、自動的に事は進んだ。

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深夜の警察署にびびった話

翌日、警察から連絡が入った。

翌朝にはもう逮捕されて拘留されたそうだ。
そして、なんにせよ調書は作らないといけないので、警察署に来てくれと言う。

当時、仕事がものすごく忙しくて、深夜じゃないと行けないと言ったら、それでも良いから来てくださいと言われた。

深夜1時くらいに警察署に行ったら、個室になっている取調室で調書を取ることになった。

わたしは犯罪者ではないので、本来は取調室じゃなくてデスクでやるのが普通なのだけど、「ほら、深夜でしょ。深夜の警察署はとてもやかましいんだよ」と、担当の50代くらいの警察官は言った。

その理由はすぐにわかった。

「うぎゃーーーっ! がぁぁぁぁぁっ!」とか、ケダモノじみたわめき声とともに、ドンがらガッタンと何かが倒れる音、数人のもつれあう音、さらにそれらを上回る「うらぁーーーっ! ごるらぁぁぁぁ! おとなしくせんかぁぁぁっ!」と警察官の怒号

「あ、お客さんだ。気にしない気にしない。いつもだから」と、わたしの前の警察官は調書を書きながら、目も上げずに、なぜか自身の股間を片手でこね回しながらそう言った。

やばいやばいやばい、なんかいろいろ普通じゃないよ、ここ…

深夜の警察署のリアルに触れた夜だった。
そこは普通の人がかかわってはいけない、狂気の微粒子が漂う世界だった。

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示談にしてくれへんか

あれから何日くらい経過したか思い出せないけど、また警察から連絡が来た。

犯人の親族のお姉さんが「盗まれたお金は、全額返済するから示談にしてほしい」と頼んでいるそうだ。もちろん示談に応じることにした。

警察は、犯行の状況も説明してくれた。

やっぱり、今夜泊めてほしいと突然アパートに現れたあの夜に、通帳と印鑑と合鍵を盗んだそうだ。そして、お金を引き出したら発覚を遅らせるために、再度忍び込んで元に戻していた。

アパートに帰った時に鍵が開いていたことは無かったから、おそらく合鍵を作ったのだろうな。

お金はなんと現金書留で届けられた。郵便配達員さんが、ふつうに持ってきてビビったよ。振り込みじゃないんかい…

中身をあらためると、分厚い封筒には200万円入っていた。50万足らなかった。

この50万は、ちびちび貸したもので貸付記録は無い。ちびちび貸して、「キリがいいから、あと15万貸して」と言われて貸した結果の50万だ。

これについては、やっぱり誠意が無かったのだろうな。悲しいけど…

そもそも、わたしのことを大事に思ってくれていたのなら、
盗みに入ったりしないで、「貸してほしい」と頭を下げただろう。

でもそれをしないで、自分の苦痛を、わたしに肩代わりさせようとしたわけだ。

足りなかった50万円は、これまで遊んでもらった恩への対価と考えて不問にすることにした。

でも、もう縁は切ることにする。

もし今後もかかわり続ければ、いつかまた苦境に立ったとき、わたしに対して同じようなことをするだろう。一度やっているだけに、おそらくそのハードルも低くなっているに違いない。

でも、縁は切ったけど、この人のことを恨んだり憎んだりはしていない。

当時、若くて生意気で、クソバカガキだったわたしを、小馬鹿にすることもしなかったし、気にかけてくれていたことは感じていた。いっしょに興じた、お馬鹿で素朴な遊びも楽しかった。

策士を自認する人だったけど、わたしのことを獲物と考えてはいなかったと思う。この後の人生では、数人のサイコパス達に遭遇することになるので、その違いはわかるんだよ。

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エピローグ

部屋にまた刑事が来た。いつもの若い刑事だった。
もはや、彼が何しに来たのか思い出せない。

部屋の中まで通したことは覚えているので、立ち話で済ませられる内容ではなかったんだと思うんだけど、どーしても思い出せない。現場写真の撮影だったかな? ごめんなさい、思い出せないよ…

それなのに、なんでこの刑事のことを書いているかと言うと、この人はわたしのことを友達のように、親身になって接してくれていたからだ。

「まったく、年下の友人がコツコツ貯めた財産を盗むなんて、とんでもない奴だ!」と憤ってくれ、「この件じゃなくても、なにか困ったことがあったら気軽に相談して」と、名刺を渡された。

寄り添ってくれているのを感じた。
あのときのそれがうれしくてさ、どうしても書いておきたかったんだ。

お金を盗んだ人は、その後何度かわたしのアパートに現れた。
だけど、もちろん一度もドアを開けなかった。

ちなみに、緊急ではない場合は110ではなく#9110だそうですね。
今度なにかあったらここに電話しよう。そんな事態にならない方がいいんだけどね。

警察に対する相談は警察相談専用電話
「#9110」番へ

――おしまい。全部実話です。

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