●要約
だいぶ昔の話になります。
虫歯になっていた奥歯の1本が、いよいよ壊滅したので抜いて入れ歯にしました。
以下は、歯医者が ”やりたい” と言う治療を、言われるがままに自由にやらせているとヒドイことになる場合があるよ。っていうお話です。
「良い歯をね ”ちょこっとだけ” 削ります。ええ、ほんのちょっとだけですよ。そして、そこにキャップを取り付けてね、入れ歯を固定するのに使うんですよ。(ね、素敵でしょ」
みたいなことを、歯医者は軽いノリで言うわけですよ。
でも、処置が悪かったのか、しばらくすると奥歯に被せたキャップは外れてしまった。
キャップが外れたおかげで、加工された歯がどんな姿になっているのかを、初めて目にして愕然とした。キャップの土台に利用された ”元” 健康な良い歯は、原形を失なうまで削られていたからだ。
無残にもザックリバックリ削られた歯は、脆弱になり、虫歯菌に侵され、ほどなくして抜くはめになった。
やがて気が付けば、隣り合った奥歯を合計3本も失なっていた…
そうなると入れ歯は、もはや片持ちでは固定できなくなっていて、補強のために金属のフレームが口の中を横断するという、ぶっ壊れたターミネーターの部品みたいな大仰なものになってしまっていた。
軽いノリで入れ歯なんて作らなければ良かったと、大後悔したお話です。
・可能ならば、入れ歯なんて作らない方が良い。
・作る場合には、絶対に健康な歯を加工させてはいけない。←超重要!!
・歯医者の勧めてくる、保険適用外の治療には警戒せよ。
・入れ歯は、保険の効く入れ歯で充分です。
・ダメな歯医者って、けっこーいる。
重要なことは以上です。
以下の文章は、どのような経緯をたどったかということを、思い出しながら記したものになります。お時間の許す方は、ぜひお読みくださいな。
奥歯が一本くらい無くても普通に飯は食える。入れ歯なんて作らない方が良い。
奥歯が一本くらい無くても普通に飯は食えます。だから、いくら歯医者が入れ歯を作りたがっても、言われるがままに入れ歯を作るのはやめておいた方が良いですよ。
とりあえずいったん、歯の抜けた状態で生活してみて、それでどうしても生活が不自由なら入れ歯を作れば良い。
逆に、大して不都合を感じないのであれば、入れ歯なんて百害あって一利無しだから、作らないに越したことはない。わたしみたいに、「体の一部を機械的なものに置き換えるってさ、なんかサイボーグみたいでカッコイイ」なんて、頭の悪い小学生みたいなノリでやって良いことではないのです。
あとね、作るなら保険の歯で十分です。
歯医者は保険適用外の入れ歯を作れよと、情熱を込めて勧めてきますが、あまり真に受けないで聞きましょう。保険の歯と保険適用外の歯では、値段がなんと50倍も違うのに、機能に差なんてありませんからね。
なぜこんなことを書いているかと言うと、わたしが入れ歯を、それも保険適用外の入れ歯を作ってしまい、そのことを激しく後悔しているからです。
もしも過去の自分に会えたなら、伝えてやりたいことをここに記すことにします。
虫歯は、最初は一本だけでした。下顎の右の奥歯。一番奥の歯です。
長年放置していた虫歯だったので、もはやボロボロになっており、詰め物が取れて外輪山も崩壊していた。
仕方がないからそろそろ治しておくかぁと虫歯を抜いて、軽い気持ちで入れ歯にしたわけですが、なんとそれが呼び水となり、次々と瞬く間に全部で3本もの奥歯を失うことになってしまった…
この原因は、クソ歯医者の下手糞な処置にあると思っています。
下の奥歯が3本も並んで消失すると、さすがにもうそちら側の顎では物が噛めなくなります。
さらに、新たに入れ歯を作ろうにも、顎の片側だけではもはや安定して入れ歯を固定させることができず、金属のアームを反対側の奥歯にまで伸ばして固定しなければならなくなりました。
口の中を金属の棒が横断し、その上に舌が乗るという、デキの悪いサイボーグみたいな有様になってしまって、片持ちでの固定方法に比べると違和感がはるかに大きい。
思えば、虫歯で逝った最初の一本を抜いた時、すでに何年も前からその奥歯は機能していなかった。なんせ外輪山すらほとんど残っていない、カルデラの末期みたいな状態だったからね。
それまでは、その状態でどんなものでもバキバキと噛み砕いて、怪獣みたいに貪欲な食欲で飯を食っていたわけです。それはつまり、入れ歯なんて必要なかったということを示唆しているわけです。
入れ歯、それも保険適用外の高価な入れ歯なんかを、歯医者の言うことを真に受けて軽い気持ちで入れ歯を作ったもんだから、たちまち奥歯3本を失ってしまう結果になった。
激しく後悔しています。
歯医者がグイグイ推してくるときは要注意
東京の歯医者の過密度は、ほんとうに異常です。
2019年の調査では、コンビニよりも20%ほど歯医者のほうが多いらしいけど、都市部では20%なんてもんじゃなくて、もっとずっと歯医者の方が多いと思う。
つまり、歯医者は過当競争の最中にいるわけです。
この競争に敗れた歯医者は敗者となり、地代、人件費、機材費、光熱費が払えなくなって倒産し、尾羽打ち枯らして公園をゾンビ歩きし、ダンボール製モバイルハウスの住人になる未来が待っている。
そうなりたくなければ、衛生的で明るい治療室を維持し、最新式の機材を並べ、さらにさらに、若くて綺麗でエロい歯科衛生士さんまで用意して集客する必要がある。
すべては金のためだ。
治療は収入のためであって、患者の幸せなんて、アニサキスの糞ほども考えていない。患者に、いかに高額の治療を受けさせるかが最も重要なミッションなのである。
入ってきた 獲物× 患者〇 を逃がさぬよう、おっ〇い押し付けサービスなどのサブミッションまでも繰り出して虜にする。
わたしのように朴訥で、田舎成分多めのウブで可愛い青少年が抗えるはずもなく、にやけ顔で即座に陥落した。イチコロだったね。
左のおでこにふっくらと柔らかく、暖かいナニかが押し当てられたとき、ぽこ〇ん膨らまして、全てのことがもうどうなっても良くなってしまった。(歯科衛生士さんってさ、AIに職を奪われない、数少ない職業のひとつなのかもね)
後から、わたしと年の変わらない若い歯医者がやってきて、抜いた後の治療方法についてなんか言い始めたけど、すでに”柔くて暖かいナニか”によって、認知能力を奪われてしまった後だったので、「あ、はい、そうします」と、全自動で歯医者の言いなりになってしまった。
それは保険適用外の超高価な入れ歯だった。
歯医者は「保険の歯は性能的にダメだ」と、強く激しくキレ気味に主張した。
保険の歯はすぐ壊れるとか、食べ物のカスが挟まって痛いとか、カッパカッパ外れるとか、美的にも問題があるとか、そういうネガキャンをまくし立てた。
一方、保険適用外の高価な入れ歯は、なんだかよくわからないけど、それはそれは素晴らしいらしい。
で、値段を聞くと、29万円だそうだ。熟練の歯科技工士さんが、匠の技で作るんだからこれでも安い。君はラッキーだと主張する。
一方、保険の歯は5千円程度だと、モゴモゴ不明瞭に言う。
当時、わたしはお金をほとんど使わない人生を送っていた。
べつに節約を心がけているわけではなかったが、お金を使う理由も無かった。
六畳一間の安アパートに住んで、服は着たきり雀だったし、外食もたまにファミレスか町中華どまり。
酒は飲めないし、車も持っていない。海外旅行なんて、外人が怖いから考えたことも無い。
もちろん彼女もいない完全生命体だ。魔法も使おうと思えば使えたに違いない。
最後から二番目のやつだけ別だけど、わたしはこの生活で満足していた。
夜中まで仕事して、終電で帰ってきて、週末は泥のように眠る。そういう奴隷の鑑のような生活を送っていたんだけど、これはこれで充実していたし、頭が少し残念なせいか、仕事だけでいっぱいいっぱいだったから、それ以外のことを考える余裕など無かったし、金を使う隙間も無かった。
「まぁ、たまには贅沢してもいいか」と、贅沢がナニかわかっていない阿呆はそう思った。
そしてついに、阿呆は29万円の入れ歯を作ることになったのであった。
1本で29万円の入れ歯を作ってしまった…
歯医者が改めて、入れ歯と治療方法について話し始めた。
入れ歯を固定するために、隣の歯2本を削る必要があると言う。
え? 健康そのものので、馬みたいになんでもバキバキ噛み砕ける歯なんだけど、それを削る?
入れ歯を固定するためのキャップを取り付けるのに必要な処置なんだそうだけど…
「どのくらい削るんですか?」と聞いたら。
「いやぁ、ほんのちょっとですよ」と、歯医者は曖昧に答えた。
このときに写真とか見せろと、食い下がればよかったのに。前述のとおり阿呆になっていたので、
「ああ、はい。わかりました」と返してしまった。
あとに引っ張らないで、ここに記しておきます。
一年後、そのキャップが外れてしまい、削った歯を目にすることになったのだけど、
削ったのはちょっとどころではなかった。
元の歯が原型を留めておらず、変わり果てた姿になった歯に愕然とした。
奥歯だというのに、臼状のどっしりした形は失われ、まるで土の中にある幼いタケノコみたいに、小さく尖っていた。
29万円もするんだから、何年くらい使えるのかが気になる。
「入れ歯の寿命はどのくらいですか?」そう聞くと、
「数年くらいかな? 早い人は3か月でダメになることもあります」クソ歯医者は、しゃぁしゃぁと答えた。
「え、3か月?」驚いた。29万円ってわかって言ってんのかよ…
「そう、早い人はね。歯茎の形が変わったりするからね」
おいおい、さっきまでそんなこと言って無かっただろ。
保険適用外の入れ歯はサイコーって、ゴリ推ししてただろ…
危険は薄々感じていたが、ここで確信した。この歯医者は信用できないヤツだと思った。
このとき、費用の29万円を支払う前だったのか後だったのか、それが思い出せない。
経験を積んだ今だったら、支払い前なら「やっぱ止めます」と言ってサッサと出てゆくだろうけど、当時の、若くて可愛い盛りの自分だったらダメだったかもしれないな。支払った後だったら絶対に無理だったと思う。
ところで受付で、費用の29万円の支払い方法を「振り込みでいい?」って聞いた時、受付のエロ美人のおねぇさんが怖い顔になって、
「げ・ん・き・ん・で、持ってきてください」って言ったっけなぁ。
あんときも、なんかヤバイと思ったよ…
入れ歯が痛い…
歯茎の型取りをして、入れ歯ができて来るまでの間は、歯石取りのチンタラ治療でもって銭を毟られ続けた。
まぁ、おっ〇い押し付けサービスの波状攻撃を見舞われて、硬化した一か所を除き、他は死んだイカみたいにグニャグニャになっていたので、むしろ歯医者に行くことが楽しみになっていたことを、正直に白状しておこう。
そうです。わたしはダメな奴です。(患者が女性の時には、どうやって捕縛しているのか興味があるな…)
ついに29万円の入れ歯ができてきた。
装着するとキツくて痛かった。歯医者にそう伝えると「そんなもんだ」と言う。
これから微調整するんだと。
そこからが長かった。
噛み合わせを調べるための、なにかフィルム状のものを噛まされ、それを元に入れ歯の下側を削っているようだ。それを延々と繰り返している。そりゃぁもう何時までたってもやってる。なぜか? 一向に痛いままだったからだ。
で、嫌になったのだろう、最終的には「慣れろ」と言い放って調整は中止になった。
それで帰ったものの、痛いものは痛い。1週間たっても慣れなかった。
気弱なわたしは、それでもしばらく我慢していたけど、ついに我慢できなくなって歯医者に電話したら、なんと留守番電話に「夏季休業に入ったので、これから一週間以上休む」と言われた。
仕方がない。待つしかなかった。そして夏季休業があけてから歯医者に行った。
「あー、こりゃダメですね。調整じゃ無理です。この入れ歯もうダメです」と、歯医者はフザケたことを言った。
そんなこと言われても納得できるわけがない。29万円もしたんだぞ! 震え声でその旨を伝えると、
「そうですね。ちょっとダメになるのが早かったし、こちらも夏休みだったからねぇ… んじゃ、こちらの負担で作り直しましょう」
と、意外なことを言った。え? 29万円もしたんじゃないの? やけに簡単に弁償してくれるのね? ってことは、歯科技工士さんには相当安く発注しているのだろうな。そう思った。
この日は、おっ〇い押し付けサービスが無かったので、わたしの頭脳はZ80並みに冴えていたのである。
新たに出来上がってきた入れ歯も、最初の入れ歯と同様に装着すると痛かった。そして、そこからまた延々と調整が始まった…
結局、まだ痛かったけど、またもやクソ歯医者が嫌になってきたらしく
「しばらくすると慣れるから、それで様子を見ろ」と言って帰らされた。
このクソ歯医者の声のトーンは、最初の頃に比べて1オクターブくらい低くなっていて、
「おめぇとはもう縁を切りたい」というオーラをビシバシ放っていた。
でもやっぱり痛いもんは痛い。
大きく弾力のある肉なんかを噛むと、入れ歯が歯茎に食い込んで痛くて食えない。
そういうものを食う時には、入れ歯を外して食うとかやっていて、もはや何のための入れ歯かわからんようになってきた。
それにだ、新しい入れ歯は、やけに取り外しにくかった。
そしてついに外れなくなった。どうやっても外せなくて、また歯医者に行った。
歯医者は、あーでもないこーでもないと、トンカチみたいなのを持ち出して打撃も加えたりしてついにはずすと、「はい」と言って入れ歯を手渡してきた。
いつも入れ歯は入れてくれていたので、手渡しされたのは初めてだった。
外れなくなったらどうすれば良いのか? どうやったら外せるのかを聞いたら、
「外れなかったら、外さなくていい」と言い放ちやがった。
固くて厚い肉とかを噛んで歯茎に圧力がかかると痛いから、そういうの食う時には入れ歯を外さないとならんので、入れ歯を外したいのだが、もはやコイツに何を言っても無駄な気配だった。
29万円も払った結果がコレかよ…
キャップを取り付けた歯が壊滅した。
あれから数か月後、無理やり使っていたら入れ歯が馴染んできた。
ってか、入れ歯が変形するわけはないから、わたしの歯茎の方が変形してきた結果だ。相変わらず取り外し難かったけど、もう痛むことはなくなっていた。
そしてまた数年がたち、スーパーで買ったサーロインステーキを獰猛に食っていたら、ガリッと固いものを噛んでびっくらこいた。突然入れ歯が外れたのだ。
見ると、キャップごと入れ歯が外れていた。
そして、キャップを被っていた下の奥歯を見て愕然とした。
奥歯が原形をとどめていないほど削られていたからだ。
奥歯特有の、どっしりした臼状の形ではなく、まるで土中のタケノコの幼体のような姿だった。
「健康な歯を削らないといけなんですけどね、なぁに、ほぉんの少しだけですから」
とかなんとかクソ歯医者はぬかしていたが、なんだこれは。
削りまくって、犬の歯みたいになってるじゃないか…
とにかく、こんなに削られていたのでは、歯のエナメル質はもう消失しているから、すでに歯の自衛機能は損なわれているだろう。これは早急に治さないといけないと思った。
すでに引越しをして、クソ歯医者とは地理的に遠く離れていたので、新しく別の歯医者に行った。
「あー、すでに虫歯になっていますねー」
今度の歯医者は、やたらとインプラントを勧めてくる。もちろん保険適用外だ。
しかしわたしにはすでに、対クソ歯医者イージスシステムが装備されていたので、歯医者の言うことなんざアフリカの祈祷師ほども信用しなかった。
「保険の効く治療でお願いします」と、毅然として言った。わたしも成長したものである。
毎月、家賃に匹敵するほどの健康保険料を支払っている身としては、入れ歯を作るときぐらい保険の恩恵にあずかりたかったという気持ちもあった。
そしてまた数年後、入れ歯固定用のキャップを付けていた奥歯二本は再び虫歯になり、また同じ歯医者に行った。
「あーこりゃもうダメだね。抜くしかないよ」
「え? 2本ともですか?」
「そう、2本ともダメだね」
かくして抜くことになった歯だが、この2本の奥歯は、そもそもどこも悪くない健康な歯だった。
それをあの、最初のクソ歯医者が削り倒し、さらに幼稚な技術で治療して虫歯菌が入り込んで壊滅した。
ヤツが弄らなかった他の歯には、1本たりとも異常は出ていないのだからそういうことだと思う。
歯医者に健康な歯を削らせてはいけない。削れば必ず弱くなる。
歯医者の処置が悪ければ、遠からずその歯を失なうことになる。
失った歯は再生しないのだ。
さすがに奥歯を3本まとめて失うと、もうそちらの顎では物が食えない。
だから、入れ歯か、インプラントのどちらにするかと歯医者に迫られた。
わたしはインプラントも胡散臭いと思っています。
理由は、歯医者が熱心に推奨してくるから。(苦笑。だけど半分マジ
それに、調べるとインプラントもメンテナンスフリーじゃないそうで、3か月に1度くらい検診が必要らしいし、その費用も掛かる。
おまけにMRIとかとも相性は良くないから、今後の先進的な検査装置が使えないことになるかもしれない。さらに、ちょっと調べるといろいろとヤバイ不具合も多いそうだ。なんたって、骨に金属棒を埋め込む大手術だからねぇ…
歯医者がそういう負の一面について、一言も言ってなかったということも、わたしが歯医者ってやつらを信用できない理由でもある。どーせ、ヤルと決まってから、何だかんだと言い訳を始めるんだろう。手口はわかってんだよ!
「インプラントは、3本で20万でしたっけ?」と、わざと間違えて聞いてみたら、
「1本で20万円! 3本で60万円!」と、食い気味に言われた。
オーケーわかった。その熱量は、やっぱ金儲けのメタファーってこった。
「歯生え薬」だ! ほーら、言わんこっちゃない!
インプラントしてて、この治療はできるのだろうか?
可能だったとしても骨に癒着したインプラントを抜かなきゃだめでしょ。それって大変そうだ… (追記 2023年 7月10日 月曜)
●世界初の「歯生え薬」治験へ 乳歯、永久歯に次ぐ“第3の歯”とは
毎日新聞 2023/6/4 16:00(最終更新 6/4 16:32)世界初の「歯生え薬」の実用化に向けた研究が、日本のチームによって進められている。
先天的に永久歯の数が少ない人に対し、薬を投与して歯を生やすことを目指した治験を2024年7月から始め、30年の実用化を目標とする。~略~
歯生え、驚きのあまり腰抜けそうに
道筋が見え始めたのは、帰国後に京都大で研究をしていた05年ごろだった。
ある遺伝子を欠損させたマウスは、逆に歯の数が増えることが発見されたのだ。その遺伝子によって合成されるたんぱく質「USAG―1」は、歯の成長を抑制する働きがあった。つまり、歯の成長を邪魔するこのたんぱく質ができないようにすれば、歯が増えるというわけだ。
「保険の入れ歯でお願いしますっ!」
出来上がってきた入れ歯は∩字型で、右の入れ歯から金属のアームが伸びて、左の奥歯にひっかけて固定する形状だった。
口の中を金属のアームが横断するので、片持ち型に比べると違和感が大きい。
見た目もいかつくて、ターミネータT800の部品みたいだった。
だけど、入れ歯そのもののデキは良くて、以前の29万円の入れ歯みたいに、強く噛んでも歯茎が痛くて泣くようなことはならなかった。
それに保険の歯だから異様に安い。これで 5,300円だ。やっす!
●教訓
入れ歯は保険の歯で十分です!
この保険の入れ歯は、6年ほどでレジン樹脂の部分がパリンと割れた。
金属のフレームを残して、樹脂部分が割れ落ちた。
金属のフレームに異常はない。ピンク色のレジン樹脂の、歯茎に被せる部分が割れてしまっただけだ。樹脂だし、6年も使えば劣化するだろうから、まぁこんなものだろうと思う。
おそらく修理できるだろうと判断し、また歯医者に行こうと思うのだけれど、またもや引っ越していたので、行ったのはまた違う歯医者になってしまった。
今度の歯科医院は、なにやら古びていて、治療台の前の壁の壁紙がカビており、一部が剥がれてベロンと垂れ下がっている。腐ったゾンビを想起させる佇まいに、ややや、なんちゅう不潔な歯医者なんだと焦ったものの、もう入ってきてしまったので仕方がない。
口をゆすぐ台からも、いやぁーーーな、生臭い臭いが漂ってきていて、これはなかなかヤバイ歯医者に迷い込んでしまったと、恐ろしくなった。
で、入れ歯の修理は、レジン樹脂を接着剤で貼り合わせてサクッと完了した。
へーー、簡単に直ってしまうんだなと、感心してしまった。
家に帰ってすぐ、大好きなミックスナッツを噛んだら、一発でバラバラになった…
ミックスナッツと言っても、あのカッチカチに固いジャイアントコーンではなく、ただのアーモンドに負けて砕けやがった。
こういうものの修理は、普通は接着剤ではダメだと判断するけど、歯医者がやってるのだから、なにか特殊な方法を使っているのだと思ったんだけど、そうでもないのかな?
また歯医者に電話して、「ナッツ食ったら壊れた」と伝えて予約をとった。
後日、歯医者に行くと、また同じように接着剤でチャッチャとくっつけて返された。で、帰ってナッツ食ったら一撃で木っ端みじんこだ…
なんとこれを3~4回繰り返した。
そして歯医者は言った。
「ナッツは食うな」。
さすがに呆れてこのダメ歯医者は見限った。
もうすでに結構な時間を費やしてしまい、疲れてきた。
予約を取ると、治療は1週間後だから、今回のようなゴタゴタに見舞われるとあっというまに1か月くらいが過ぎてしまう。しかもその間は無料ではない。歯医者にかかわるとこうなる確率が高いんだよなぁ…
またもや新たな歯医者に行ってみたら、「これは接着剤でつけるの無理ですよ。フレームの金属は高価だしもったいないから、樹脂のところだけ作り直しましょう」となった。
また歯茎の型を取ったのだけど、このときの歯科衛生士さんがパツキンの外人さんで、テンションが爆上がりした。おっ〇いサービスが無かったのは残念だったが、それでも良い経験をしたと得した気分だった。
で、受付で会計するときに座っていたのは、「おまえいつまでグレてんだよ」と言いたくなるような、パツキンのヤンキー婆だった… むろん日本人の婆だ。夢を見ていたかったぜ… そいうやわたしの視力は 0.02 で、治療台では眼鏡外してたっけ…
いろいろあったが、どうにか入れ歯は修理され、微調整もさくっと終わった。どうやら初めてマトモな歯医者に当たったようだな。
そして現在に至る。
入れ歯の感想といたしましては、「保険の入れ歯で十分」ってことです。
まとめ
- 可能ならば、入れ歯なんて作らない方が良い。
- 絶対に健康な歯を加工させてはいけない。←☆★☆★☆ 超重要 ☆★☆★☆
- 歯医者の勧めてくる、保険適用外の治療には警戒せよ。(患者の為に勧めているのではない)
- インプラントには、デメリットも多い。(検索すればいっぱい出てくる)
- 保険の入れ歯で機能的には充分です。
- ダメな歯医者は、けっこーいる。(ってか、ダメなヤツのが多い印象)
- 歯科衛生士さんのおっ〇いは最強の集客力。抗うのは無理。
ってこと。
――おしまい。全部実話です。